「白隠(はくいん)」・・・って知っていますか・・?
禅(ぜん)の世界では、チョット有名なお坊(ぼう)さんの名前です。江戸時代中期の人で、「白隠慧鶴(はくいんえかく)」といい、臨済宗(りんざいしゅう)中興(ちゅうこう)の祖(そ)と称(しょう)されています。
もともと臨済宗は、臨済(りんざい)という唐(とう)の人がおこしたものですが、江戸時代に白隠さんがこれを再興(さいこう)したんです。だから、中興(いったん衰えたものを再び盛んにする)の祖と言われているんです。ちなみに、白隠さんが生まれたときの将軍(しょうぐん)は、「生類(しょうるい)憐(あわれ)みの令(れい)」で有名なお犬将軍こと徳川綱吉(とくがわつなよし=徳川第5代将軍)です。
さて、今回は何故(なぜ)この白隠さんかというと、その前に、以前話題になった「ニュートリノ(素粒子=そりゅうし)」のことに触(ふ)れたいのです・・・。「ニュートリノ」って何じゃい・・って思う方もいると思いますが、細(こま)かい説明はここではしません。すご~く小さい物質だと思ってください。たとえが悪いかもしれませんが、放射能(ほうしゃのう)みたいに目に見えない小さなものです。このニュートリノ君、大胆(だいたん)にも、全国紙の1面(いちめん)を飾(かざ)ったのです(昨年の読売新聞9月24日朝刊)。新聞の1面ですよ。すごいじゃぁないですか。で、新聞の1面を飾るぐらいすごいこと・・・何が載(の)っていたかっていうと・・・そこには、「光より速い素粒子(そりゅうし)観測(かんそく)」・・・と大きな字で紹介されていました。この光より速い素粒子とは、そうですニュートリノ君のことです。
今までは、光より速いものはないと言われてきたのです。これが本当ならば、20世紀最大の科学者と言われている、アインシュタイン博士の「宇宙で最も速いのは光だ」という現代の物理学を、根底(こんてい)から覆(くつがえ)す可能性があるからです。
光より速いと何が起こるのかというと、時間が逆に進むのです。そう、時間を遡(さかのぼ)るのです。過去に行ってしまうんですね。漫画や映画に出てくるタイムマシンのようなことが実際に可能かも・・・と。アニメの宇宙戦艦(うちゅうせんかん)ヤマトに出てきたワープ(超高速航法=ちょうこうそくこうほう)が実現可能ということも。う~ん、すごい。時間が戻るということは、10時ちょうどに東京を出たら、1分前の9時59分に大阪に着くようなものなんですから。
これって、よぉ~く考えてみると、結果(けっか)が先(さき)で原因(げんいん)が後(あと)でつくられるようなことも起こるかもしれないということです。ふつうは、原因が先で結果が後なのは常識ですよね。桜の花のタネを蒔(ま)かなければ(=原因)、桜の花は咲(さ)かない(=結果)のですが、結果が先だと桜の花は咲いているけど、そのタネは梅(うめ)の花だった・・・なんてね。
なんか、頭が混乱(こんらん)してしまいますよねぇ。
さて、このニュートリノ君が「白隠和尚(はくいんおしょう)」と何のつながりがあるのかというと、白隠さんが書いた書物に、「座禅和讃(ざぜんわさん)」という、座禅の本質を民衆にわかりやすく(と)いた書物があります。この中に・・・
因果(いんが)一如(いちにょ)の門(もん)ひらけ
無二(むに)無三(むさん)の道直(みちなお)し
という一文(いちぶん)があるのです。
「因果(いんが)一如(いちにょ)の門」とは、原因と結果が一緒(いっしょ=同時)に存在する世界があるよぉ~という意味らしいのですが、これって結果が先で、原因が後の可能性もありますよってことです。ねっ、ニュートリノ君のように、結果があって原因があることを、江戸時代の白隠さんはわかっていたようなんです。まぁ意識(=想い)って、自由に時間を遡(さかのぼ)って過去にも行けるのですから。もし意識が物質(もの)なら、ニュートリノ君のように過去に遡って、人の過(あやま)ちや自然災害を未然(みぜん)に防ぐことができるようになるかもしれませんね。