僕らって忙しくなると、なんか余裕がなくなっちゃいますよネ。イライラして、そのイライラを周りに当たりちらしたり・・・。昔は忙しくても、多少金のゆとりがあったりしたけれど、今じぁ、金も時間も余裕なし。それに付け加えて、いまは電力も政治も余裕なしときた日にゃぁ、踏(ふ)んだり蹴(け)ったりですヨ。それに、ホント、どこの会社でも、売り上げが上がらないので経費などが削減(さくげん)され、以前にも増してやることが増えて、増えて。なんか、悪循環に陥っていて、そこから抜け出せない。それが「忙」。
この「忙」という字を見てみると、「忄(立心偏は心)」+「亡」でできています。ねっ、字の通り「忙(いそが)しい」と心(こころ)を亡(な)くししちゃうんですよ。よくできていると思いませんか・・・?
ところで、日本に初めてヨガを持ち込んだ中村天風(本名・中村三郎1876(明治9)年生まれ)という人がいます。この方、結核(この当時は死の病)になってしまい、いろいろと試したのですが治らず、最後にあるヨガの師匠(ししょう)を頼ってインドの山奥?に修行に行きました。けれど、師匠はいつまでたっても、ヨガ(病気の治し方)のことを教えてくれません。何故教えてくれないのかと師匠に尋ねると、そのとき師匠にこう言われたそうです。
「おまえにヨガ(病の治し方)を教えようと思っているのだけれど、おまえの心はいつもおまえの思いが満杯で私の教えたいことが入らない。余裕が無い瓶(かめ=容器・ここでは心のたとえ)に水(=教え)が入らないように、おまえの思い(水)を捨ててみろと」と。(厳密には違いますが・・その点はお許しを)
たしかに言われてみれば、忙しい(あ~しなきゃぁ、こ~しなきゃぁ・・という思い・あれもこれも)と心に余裕が無くなって、いろいろ失敗も多くなり、良い知恵も浮かばないですし、他人(ひと)の言うことも耳に入らなくなってくるかも・・。さすが、この師匠たいしたものです。心のことがよ~くわかってらっしゃるようで。
この中村天風というひとですが、なかなかすごい人なんです。東郷平八郎(海軍大将)さんや松下幸之助(パナソニック創設者)さん、稲盛和夫(京セラ・KDDI創設者)さんたちが師(し)と仰(あお)
ぐ方らしいです。
この人チョット変わっていまして、何でも自分の心臓(しんぞう)の鼓動(こどう)を意識的に止めることができたそうです。普通死んじゃいますけど・・・・ね。ヨガの奥義には心臓を止めるテクニックがあるそうですが。詳しくはこの人の伝記等を読んでください。
作家の宇野千代(うのちよ)さんも、天風さんのファンで、天風さんのことを書いていましたし、各出版社からも天風さんのことを書いた本は出ています。また護国寺(ごこくじ・東京都文京区)にある天風会館でも、ここだけのオリジナルの本が発売されています。
さて、話は戻りますが、心に余裕がないと、自分が売っている商品(もの)にさえ、意識が向きません。それでどうして良い仕事ができるのでしょう。そして、あまりにも「忙しい」と、心の上に重し(重圧)がかかり、この重圧から逃(のが)れる(=亡くす)ため、心は意図的(いとてき・無意識なのかも)にいろいろなことを「忘れたい」「忘れよう」と思うのかもしれません。そして、最後は心を消してしまうのでしょうか。・・・・・あっ「心」が消えると「亡(死)」んじゃいますね。